天上の画家

『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー

天上の画家 1

 

君が言う通り、悪もまた神の為せる御業。
だからと言って、神の御名にいささかの傷も付かない。
悪の創造は、秘められたる神の完全性を証明する。

君にたとえ話を聴かせよう。
天上の画家は描く、美しいモノも醜いモノも同様に。

天上の画家は描く、エジプトの美女達が
若いヨセフに熱い視線を注ぐ光景を。

そしてまた、燃え盛る地獄の炎と
忌まわしき一群を引き連れたイブリースを。

どちらも同じ画家の、同じ手によるもの。
いずれの光景も、ただひとつの意図を以て描かれた傑作、
天上の画家の、完全なる知識を知らしめる。
疑り深い批評家達も、彼の技巧に感嘆せずにはおられない。

悪を描かねば、技量に欠けることになろう。
影を描かぬ画家の絵に、どうして光が見出せようか。

このようにして神は創られる、
信じぬ者と共に、真のムスリムをも同様に。
二つながらに神の証明となり、
一なる全能の主に奉仕させるために。2

 


1. 『精神的マスナヴィー』2-2535.

2. 真の信者は神の美と慈悲を反射する鏡のような性質を持つ。彼らは愛を動機とし、愛を目的として神に礼拝を捧げる。一方で不信者は、神の壮大さと怒りによって支配される存在である。彼らの意志に反してその性質が、彼らが翻弄され続ける奴隷に過ぎないことを認める。