はじめに
子どもの頃から10代にかけて、ぼくたちはマドラサ(イスラムの学舎)に通っていました。マドラサでは、歴史や聖なる伝承のうつくしい物語を教わりました。ぼくたちの先生はすばらしく才能に恵まれていました。彼らが語り始めると、まるで時が止まったかのようでした。ぼくたちは、まるで頭の中で映画が上映されているかのように感じたものです。信仰や気のきいた笑い話、愛と自己犠牲、それに冒険の物語の数々は、ぼくたちの人生に大きな影響を与え続けています。
その物語たちを描きたいと、ぼくはここ2年ほどコミックスの技法を練習してきました。コミックスをひとつ描きあげるたびに、アリフとぼくはそれをぼくたちのブログに掲載しました。オンライン上でもおどろくほど多くの反響がありましたが、紙に印刷されているものがほしい、というリクエストもかなり沢山ありました。
コミックスのひとつひとつには、そのコミックスで扱うトピックの元となった聖なるコーランの章句や、預言者と預言者の聖家族の伝承を添えることにしました。中には、描いていてぼく自身が思ったことなどを書き添えたものもあります。
中には、顔が描かれていない登場人物がいるのを不思議に思う読者もいるかもしれません。イスラム芸術においては、神聖な人物の顔を描写しないのが昔からの習慣です。そこでぼくは、コミックスでもこの伝統を尊重することにしました。
この本の製作を実現するのに必要なはげましと意見を与えてくれたアブドゥルバシール・アズィーズ、ユマ・サティシュ、そしてズィーナト・メルシャンシヤルに感謝を捧げます。それから、人生における精神的な導きの源となってくれたシェイフ・アリフ・アブドゥルフサイン、アル・ハッジ・ハサナイン・ラジャーバーリ、それにシェイフ・ハリール・ジャッファールに心からの謝意を。この本にある物語の多くは、彼らから教わったものばかりです。皆さんが“40 Sufi Comics”を楽しんでくれますように!
モハメド・アリ・ヴァキル(Mohammed Ali Vakil)
モハメド・アリフ・ヴァキル(Mohammed Arif Vakil)