第27話

『スーフィーの寓話』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー

「四人の男と金貨と葡萄」1

 

ある人が、四人の物乞いに一枚のディルハム貨幣を与えた。

四人のうち、一人目のペルシャ人が言った、「私はこれでアングールを買おうと思う」。二人目のアラブ人が反対した。「いやいや、何を言っているんだ。イナブを買おう。アングールなんかやめておけ、この馬鹿め」。すると三人目のトルコ人が、「イナブなど要らない。ウズュムが欲しい」。四人目はギリシャ人で、「やめろやめろ、もう沢山だ。買うならスタフィル2に決まっている」。

こうして、愚かな争いが始まった。彼らは互いを拳で殴り合った。彼らは全員、無知ならば有り余るほどに持っていたが、知識は欠片ほども持ち合わせが無かったのである。舌の技術に通じた、いわば精神のスライマーンとも言うべき者3が仲介に入るまで、争いは終わることが無かった。

ああ、争い合う鳥の群れよ!聞け、タカのように - 打ち鳴らされる王の太鼓の音に、耳を澄ませるのだ。ありとあらゆる方角に散らばった仲間達よ、喜びと共に飛び立て、<一なるもの>の御許に集え。『たとえどこにあろうとも、汝の顔をこの方角に向けよ』4。いつであろうとも、どこにいようとも、御方は決して何もかもを禁じたまわない - 唯これのみを除いては。

 


*1 2巻3681行目より。

*2 σταφυλη.

*3 コーランによれば、スライマーン(ソロモン)は鳥と動物の言葉を解することが出来たという。

*4 コーラン2章144節:「・・・おまえたちがどこにいようと、この方角に顔をむけよ。」