第35話

『スーフィーの寓話』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー

「一番美しい都」1

 

愛された女が、愛する男に尋ねた -

「ねえ、あなた。

あなたは色々な都を旅したのでしょう。

教えて、どの都が一番美しかったのかしら」。

男は答えた -

「決まっているだろう、恋人の住む都だよ」。

我らが王のために絨毯が敷かれる処ならば、

たとえそれが何処であろうとも、

針の目ほどの穴でも、広々とした草原となろう。

月のごとく麗しいユースフ2が住まうならば、

そここそが楽園となろう、

たとえ井戸の底であろうとも。

 


*1 3巻3858行目より。

*2 第15話・註1を参照。(以降、当該用語については註を省略する)