『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー
魂の階梯 1
私は鉱物として死に、植物となった。
私は植物として死に、動物となった。
私は動物として死に、人間となった。
どうして私が恐れることなどあろう?
かつて死によって失ったこともない。
それでも再び、私は人間として死ぬ。
その時は天使となって空高く飛ぼう。
だがさらなる次の階梯を目指すなら、
私は天使の姿をも脱ぎ捨てるだろう。
そして私は想像も及ばぬものとなる。
最後には全て消滅し、残るは神のみ。2
無となった私に、オルガンが告げる。
「われわれはなべて神へと還り往く」3
1. 『精神的マスナヴィー』3-3901. [昇天]ならびに[進化の道程]参照。
2. 「……神のほかに神なし。神のお顔以外のものは、すべて滅びゆく。裁きたもうのは神のみ。おまえたちはことごとく、神のみもとへ帰される(コーラン28章88節)」。
3. 「……われわれは神のもの。われわれは神のみもとに帰る(コーラン2章156節)」。自己放擲( fana )にあてられた用語「無( ‘adam )」については[CXIII]の註3を参照。