「汝、汚れなき口もて祈れ」

『精神的マスナヴィー』3巻
ジャラールッディーン・ムハンマド・ルーミー

 

いと高き神がモーセ –– 平安は彼と共に –– に、「汝、汚れなき口もてわれを呼べ」と告げたもうことについて

180. 神はモーセに言いたもう、「おお、モーセよ。わが加護を求めるならば、罪から浄められた口もて求めよ」。モーセは答えた、「神よ、私はそのような口を持ちませぬ」。すると神は言いたもう、「ならば他人の口を求めて祈れ!」。他人の口もて罪を犯しうるだろうか?逆だ。(知ると知らざるとに関わらず、我らはいつも)他人の口もて神を請い、他人の口もて叫んでいる –– 「おお、神よ!」。他人のために祈れ。(彼らもまた)あなたのために昼となく夜となく祈ってくれるだろう。互いのために祈れ。「罪から浄められた口もて許しを請え」。こう言われれば、誰か他人の口を求めるより手立てはなかろう。

185. でなければ、自らの口を浄めよ。自らの魂を聡く誠実なるものに矯めよ。神の賛美は純粋である。純粋なるものが訪れれば、汚濁は荷物をまとめて出てゆく。対極にあるもの同士は相容れぬ。対極に位置するものが来れば、その対極にあるものは去ってゆく。夜明けの光が輝けば夜の闇が消え去るように、聖なる御名が口に宿れば不純も悲哀も残らず消え去る。