一人で旅などするものじゃない

『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー

一人で旅などするものじゃない 1

 

戦争と冒険はわれらが宗教の認めるところであり、
逃避と、洞窟への隠遁はイエスの宗教の認めるところである。2
スンナこそは最も安全な道であり、
信じる者たちの輪こそは、最も善き旅の連れである。
神へといたる道は困難と災厄に満ちており、
柔弱に生まれついた者には不向きな道。
この道においては、人の魂は恐怖の試練を課される、
まるで麦の粒が、ふるいにかけられ選り分けられるように。

一人で旅をする方が、気楽でいいという者もあろう、
群れをなすよりも、狼に狙われずに済むという者もあろう。
わたしもそう思う –– だが連れのいない旅では、
気力がそうそう長続きはしない。

ああダルヴィーシュよ、ロバを見よ。
あれほど粗野で卑しいけものも他にいないが、
しかし彼らは互いを励まし、気力を与え合っている。
自分と同種の仲間を持つことが、彼らの力となっている。

道連れもなしに砂漠を渡ろうとすれば、
どんな刺し棒で刺されることか、
どんな突き棒で追い回されることか。

ロバに学べ、彼らはこう警告する ––
「よくお聞き!馬鹿なロバでもない限り、
一人で旅などするものじゃない!」

 


1. 『精神的マスナヴィー』6-494.

2. ルーミーは「イエスの宗教」について、ムスリムが伝統的に抱いている見解を示しているが、これは rahib と呼ばれる独居生活をその手本とした初期のムスリム禁欲者たちの流れを汲むものである。少数の例外を除き、スーフィーたちは、イスラムにおける宗教生活に特有の同胞愛の思想を、単に尊ぶにとどまらず発展させかつ実践してきたのである。