『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー
スーフィーとは何か 1
スーフィーを自称する者たちがいる。
つぎはぎだらけの外衣に身を包み、それらしく振る舞う。
だが外衣の下には、歪んだ欲望を隠し持っている。
友よ、見かけでスーフィーを判断してはいけない。
スーフィーとは、魂の純度もてはかられるものだから。
全ての裡に、まじりけのない愛を見出す者
苦しみにあっては楽しみ、悲しみにあっては喜ぶ者
麗人の住まう館を守護する幻の衛兵たちも、
彼を見れば構えていた槍を降ろして敬礼する。
彼は門を通り過ぎる、何の恐れも不安もなしに。
王の名入りの矢を差し出し、中へと入ってゆく。2
1. 『精神的マスナヴィー』5-358.
2. 「麗人」「麗人の住まう館」については、何を象徴しているのかは言うまでもないだろう。「矢(=通行手形)」について補足すると、戦時下では、降伏した敵兵には王の名が刻印された矢が手渡される習わしがあった。それは領土内での捕虜の安全を保証する一種の通行手形( tir-i aman )となった。この習慣に因んで、ペルシャの神秘詩人サアディーは次のような詩を詠んでいる:
わが心臓を貫き死に至らしめたまえ。
あるいは我が身の護りとなしたまえ。