希望の歌

『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー

希望の歌 1

 

船に乗り込み荷を積んだとき、
信頼の名の下に冒険が始まる。
旅の途中で溺れて終わるか、
陸へと辿り着けるのか、
あなたには知る由もすべもない。

「自分の運命も知らぬうちから、どうして旅立てるだろうか」

もしもあなたがそう言い続けるなら、
あなたの旅は未来永劫始まりはしない。
この先に何が待ち受けるのか、
あなたには知る由もすべもない。
失うことを恐れる臆病者は、
失うものもなければ得るものもない。

いや、実際には失っているのだ。

炎を熾すこと無しに、
どうして光が得られよう。
何をするにも導きが必要となる、
希望という名の導きが。

「信仰」とは、いわば希望の最たるもの。
希望の中の希望だ –– これを通じて、
ひとは「救い」を得るのだから。

 


1. 『精神的マスナヴィー』3-3083. 永遠の名において神が定めた通り、魂のうちあるものは救われ、またあるものは迷う。それを踏まえた上で神は預言者たちに、誰に対しても等しく神の言葉を訓告するよう命じている(コーラン5章67節)。後はただこれに従い、主を信じるのみである。たかだか現世における成功ですら、危険を冒さない限りは成就し得ないのである。

5-67. これ使徒よ、主から汝に下されたものを人々に伝えよ。さもないと、汝は主の伝言を伝えないことになる。神は人々から汝を守りたもう。神が背信の徒を導きたもうことはない。