『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー
盲信の追従者 1
オウムは鏡を覗き込み、その中に己の姿を見る、
けれど鏡の背後に控える師の姿には気づかない。
そのようにして、オウムは人の言葉を習得する、
己と同族の、鳥と話していると思い込みながら。2
自惚れではち切れんばかりの弟子がまさにこれ、
師の前であってさえ、見るは己自身の姿ばかり。
師の講義の背後から、普遍の真理は雄弁に語る、
人の秘密を、精神の秘密を、魂の領域の秘密を。
けれど彼は何も見ず、故に何ひとつ学びもせず、
暗記しただけの言葉を、理解もせずに模倣する。
これがおまえの全てだ、追従者よ、盲信の輩よ、
オウム同士で群れるがいい、友から程遠き者よ。
1. 『精神的マスナヴィー』5-1430.
2. 東方においては、オウムに人語を真似させるのに鏡を使って訓練する。鏡の後ろにはカーテンが引かれ、更にカーテンの後ろに調教師が隠れている。ここで寓意として用いられた「鏡」とは聖者を指している。「オウム」すなわち弟子と、不可視の語り手かつ真の教師である神との間で、媒体の役目を果たすのが聖者である。