『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー
正しき者の報酬 1
ひとつ処に集められる審判の日、
正しき者たちが天使に尋ねる。
–– 天使よ、天使よ。信じる者も不信の者も、
同じ地獄を渡るのではなかったか。
我らはここに辿り着くまでの間、
炎はおろか、煙すら目にしなかったが。2
すると天使が答える。
–– 汝らが通り過ぎたあの庭園、
あれこそは紛うかたなき地獄であった。
だが汝らの目には、緑なす楽園と映っただろう。
汝らが見たのは、汝ら自身の魂に他ならぬ。
これより前に汝らは、自身の内奥に地獄を見、
燃え盛る炎を消し止めようと努めた。
憤怒の炎を柔和の光に、曇った無知を輝ける知に、
惑いの我欲を庭園にしつらえんと努めた。
小夜啼鳥が集い、賛美の歌が響き渡る庭園に ––
それゆえ汝らに対しては、地獄の炎も
緑と薔薇と、尽きせぬ宝になったのだ。
1. 『精神的マスナヴィー』2-2554.
2. コーランの句に従えば、信じる者も不信の者も全てひとしく地獄に入れられる。「おまえたちの中でそこに到着しない者はだれもいない(24章71節)」の、「そこ」とは一般に地獄にかけられた橋/スィラート( Sirat )を指すと解釈されている。伝承においては審判の日、地獄は信じる者たちに話しかけ、「橋を渡れ、おお、真の信仰者よ。汝らの光は、我が炎を鎮めるだろう」と呼びかけるとされている。