『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー
「異なる意見を認めぬ頑迷な偏見を持つ者への批判」1
ユダヤ教徒は夢を語る。
彼らの語る夢は、賢明さに裏打ちされている。2
ああ、ひとつ言っておこう。
称賛に値する一生を終えたユダヤ教徒は数多くいる。
きみと宗教を異にする者を、それを理由に
一人たりとも拒絶してはいけない。
きみがそうやって拒絶してきた者の中には、
やがてムスリムとなって死を迎える者もあるかも知れない。
一体、きみに他人の何が分かるというのか?
これが最後とばかりに、きみの顔を背けるほどの事だろうか。
そんな気分になるまで他人の人生に鼻先を突っ込んで、
あれこれと嗅ぎ回る方がどうかしている。
*1 『精神的マスナヴィー』6-2450.
*2 「夢」 ここで言及されている「ユダヤ教徒の夢」とは、シナイの山におけるモーセと神の邂逅に代表される神秘体験、神の顕現(tajalli:タッジャーリー)を指している。「……主は山に姿をあらわしたもうや、それを崩壊させたまい、モーセは気を失って倒れた(コーラン7章143節)」。