光なくしては

『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー

「光なくしては」1

 

色を見えるようにするもの、それは光。夜になれば、
赤も緑も褐色も、視界から消し去られてしまう。

光の存在を知らせるもの、それは闇。隠されているものは、
すべてその反対にあるものによって示される。

けれど神のみは別、神は対となる何ものをも持たない。
神はすべてをご覧になる御方、けれどそのお姿は、
やがて滅びる肉の眼には、映すこと永遠に禁じたもう。2

暗闇の密林からやって来た輝ける虎のように、
不可視の魂から生じた物影が光めがけて飛び出してゆく。
深遠なる知恵の大海から思考の波が寄せれば、
物影は立ち上がり、言葉と音色の衣裳を身にまとう。

束の間のきらめきが伝えたその姿かたちの美しさ、
それから崩れ落ち、波に混じって消えてゆく。

こうしてあらゆる美しいものは消えてゆく。
あらゆる美しいものを生じさせたもう
最も美しき御方の、再びの飾りとなるために。

 


1. 『精神的マスナヴィー』1-1121. 光と色を象徴として用いる理論はプラトンに端を発している。

2. 神は比類なき存在であり、何ものにも喩えることができない。故に意識では神を捉えることはできない。ただ多様な姿形に、その顕現を認めることができるのみである。