『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー
「時の宇宙」1
ありとあらゆる瞬間に、あなたは死と再生を繰り返す。
預言者も言った通り、「この世はほんの一瞬に過ぎない」。
われらの思考は御方により、御方の宙へ向かって放たれた矢。
どうして宙にとどまり続けていられようか?
どうして御方の許へと戻されずにいられようか?
ありとあらゆる瞬間に、世界は新たに創造される。
われらは、永久に繰り返されるこの変化を知らない。
生命の水が刻一刻、新たに注ぎ込まれれば、
肉体は河のように、連続する流れの痕跡を残す。2
火花を素早く回転させれば、一筋につながる光の線に見える。
時も、時の経過も、絶え間なき神の御業のもたらす不思議の現われ。
巧みに回転させた松明の火が、ひとつの環に見えるかのように。
1. 『精神的マスナヴィー』1-1142. 存在という環の始まりも終わりも、神の本質という単一の点にある。これは我々の目には拡張という形式をとって認知される。しかしながら神秘主義者たちにとり世界は「瞬間に過ぎない」。それは神の光明により明かされる一即多・多即一のきらめきである。スーフィーその他のムスリム形而上学者の論に従えば、宇宙のあらゆる原子は神のエナジーの連続的な顕現であり、絶えず消滅しては再生される。
2. ヘラクレイトスの言「同じ川に二度入ることはできない。流れも変われば、水も変わっている」と比較せよ。