『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー
感じることと、考えること 1
誰かがザイドの頸を強く叩いた。
拳を構えて振り返るザイドに、
「待てまて」、ザイドを叩いた者が言った。
「まずは私の問いに答えてくれ、
私を叩き返すのはその後にしてくれ。
私はおまえの頸を叩いた。
その時、ぴしゃりと音がした。
さて、ここで質問だ。
その音は私の手からくるものか?
それとも、おまえの頸からくるものか?
さあさあ、賢者よ、どう思う?」。
ザイドは答えた。
「痛くていたくて、それどころじゃない。
問いの答えは、おまえが考えろ。
痛みを感じるのに忙しい者は、
悠長に考えごとをしていられるほど暇じゃない」。
『精神的マスナヴィー』3-1380. 超越的真理の前では、知的な推論がいかに無益であるかを示す寓話。