神の人

『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー

「神の人」1

 

その人を仰ぎその人を讃えることは 神を讃えることにも通ずる
神の果実は この「盆」におのずから備わる精髄より生じて育つ

この「籠」より育つりんごには様々あり
その多彩さには 目をみはるものがある

これを「樹」と呼んだとしても 何の差しつかえもなかろう

この「籠」を 「りんごの樹」と呼ぶもよかろう
そのふたつの間には 秘密の合一があるのだから

この「籠」を 「幸運の樹」と見るもよかろう
木陰に身を寄せ 至福のうちに座すがよかろう

 


1. 『精神的マスナヴィー』6-3204. この比喩における「りんごの樹」とは神をさし、りんごの盆または籠にたとえられているのが神の人、「完全なる人間」である。りんごとはすなわち神的属性であり、かれ(完全なる人間)を信頼する人々すべてに与えられる魂の糧であることが示されている。