「心の絆」

『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー

「心の絆」 1

 

幸せなひととき、
宮殿に共に座るあなたと私。

姿はふたつ、影もふたつ、
けれど魂はひとつだけ、あなたと私。

あなたと私、庭を歩けば、
木立の色も鳥の声も永遠を奏でる。

天空の星がこっそりと見つめてくるから、
月を鏡に視線をかわす、あなたと私。

あなたと私、陶酔に混ぜ合わされて、
切り離しようもなくひとつの、あなたと私。

あるのはただ喜びだけ、あなたと私、
二度とふたつに離れない、邪魔をするものは何もない。

きらきらした羽で飾られた天の鳥たち、
嫉妬で彼らの胸は焼け焦げんばかり。

こんな場所で、こんな姿で、
笑い声の光をまき散らすあなたと私。

そして何よりも驚くべき奇跡はこれ、あなたと私、
あなたと私が同じ世界の片隅に、共に座っていること。

この瞬間、共に座るあなたと私、
あなたはイラクに、私はホラーサーンに。2

 


1. 『四行詩集』38.

2. 神秘的合一について解説する詩。「愛する者」と「愛される者」の、正反対の位置から始まった関係はやがて変化の過程を経て、最終的には普遍的な愛の本質そのものに還元されていく。