愛、秘儀の司祭

『ルーミー詩撰』
メヴラーナ ジャラールッディーン・ルーミー

愛、秘儀の司祭 1

 

こころの痛み この悲しみが
恋い焦がれる者の熱を冷ます
愛を知る者のこころの痛みは
他の病とは比べるべくもない
愛は別離の悲しみより生じた
神秘を教えるアストロラーベ2

来世の庭園に生じようとも
現世の泥土に生じようとも
ひとたび生じた愛の全てが
終には我らを天上へと導く3

愛について説明を試みたところで
理性などロバほどの役にも立たぬ
ただ愛のみが愛の全てを語り得る
太陽のみが太陽を語り得るように

もしも確かな証拠を欲するのならば
愛にのみ求めて愛から顔を逸らすな4

 


1. 『精神的マスナヴィー』1-109.

2. 「人はみな神のアストロラーベ(天球儀)である。それを知ること自体が、神の贈り物である。贈り物を受け取って自覚した人は、ちょうど天文学者が天球儀を用いて星座を観察し、その影響を計るのと同じように、自らを神の天球儀として用い、絶えず神的美学(それはあらゆる理論と知識を超えており、 説明は不可能である)を観じ、学び、実践することになる。その人は不断に神的美学を映し出す鏡となる(『ルーミー語録』13)」。

3. エマソンは以下のように語った。「多くの魂がその中に神の美を抱きかかえ、また魂はそれぞれに、神聖なるものと現世に負わされた堕落とを切り離し、恋人たちは造られたる魂の梯子を一段づつ踏み、神の愛と知を目指して最も高い美へと上昇する(R. W. エマソン『随筆集:第1巻( Essays:First Series )』)」。

4. Aftab amad dalil i aftab とは、繰り返し引用される有名な比喩表現である。