“Open Syllabus Explorer”を眺めて一言ふたこと(5年ぶり2回め)

5年と半年ぶりにOpen Syllabus Explorerを開いてみました。ときどき見に行くとおもしろいですね。5年が「ときどき」の範囲に入るかどうかは別として。

主に英語圏の大学が公開しているシラバスを、当初からすでに100万超あつめてらっしゃったのですが、その後もどんどんアプデされて今や700万超の教室を横断するというなんかすごい規模になっていた。あといろいろ見やすくなった。最初に見に行ったとき、分野に関係なくアサインされているテキスト全体上位50位の邦訳探しというのをしてみたのですが、今回もそれをやってみました。母数が増えているので順位にもいろいろと入れ替わりがあるだろう。基本Open Libraryにリンクしますが、ないときはProject Gutenbergとか出版社にリンクします。順位の横の()内は5年前との比較です。

 

1位(同→)The Elements of Style:『英語文章ルールブック』、変わらずの首位です。

 

2位(圏外↑)A Writer’s Reference:5年前は同著者の別著作が35位&49位に入ってました。

 

3位(30位↑)A Manual for Writers of Term Papers, Theses, and Dissertations:『研究論文執筆マニュアル』、順位を上げてきました。文章読本が金銀銅と表彰台を占拠する結果になった。2016年11月以来、悪い夢だと思いたい4年間を経てみんな語彙力大丈夫そ? っていう感じ。まあ母数が増えたのでこうなるんだとも思いますが、それもそれでなるほどです。

 

4位(3位↓)The Communist Manifesto:出たわね『共産党宣言』。

 

5位(2位↓)The Republic:プラトンの『国家』。

 

6位(圏外↑)Calculus:『スチュワート微分積分学』。世界で最も読まれている微積の教科書だそうです。

 

7位(5位↓)Frankenstein:『フランケンシュタイン』、5位からランクダウン。なんかいっぱいあった。

創元推理文庫、新潮文庫、光文社の古典新訳文庫、青空文庫にもあって、角川文庫の、え、なにごとですかこの表紙。

何何何

 

8位(16位↑)The Canterbury Tales:『カンタベリー物語』、16位からランクアップ。

先月、新訳を出していらっしゃる。鈍器だ。

 

9位(39位↑)Nicomachean Ethics:『ニコマコス倫理学』、岩波書店の「新版 アリストテレス全集」というのの中にも収められていました。家具だ。

 

10位(圏外↑)Human Anatomy and Physiology:ご著者のエレーヌ・ニクポン・マリーブさんは人体解剖学の先生でいらっしゃるそうですが、2018年にお亡くなりになっているんですね。YouTubeにちらほら、追悼動画などがありました。

 

11位(圏外↑)Doing Your Research Project:1986年の初版以来30万部を売り上げてるそうです。

 

12位(圏外↑)Imagined Communities: Reflections on the Origin and Spread of Nationalism:ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』。

 

13位(圏外↑)They Say/I Say: The Moves That Matter in Academic Writing

“They Say / I Say” identifies the key rhetorical moves in academic writing, showing students how to frame their arguments in the larger context of what others have said and providing templates to help them make those moves. And, because these moves are central across all disciplines, the book includes chapters on writing in the sciences, writing in the social sciences, and–new to this edition–writing about literature.

論文執筆マニュアルというか、議論のお作法読本のようだ。

 

14位(7位↓)Leviathan:ホッブズ『リヴァイアサン』。

 

15位(35位↑)A Pocket Style Manual:2位にランクインしている”A Writer’s Reference”と同じ著者の。

 

16位(圏外↑)Discipline and Punish: The Birth of the Prison:ミシェル・フーコー『監獄の誕生』。フーコー、前回はなんかざっくりパゥワー (Power) とだけ書題にあって探しづらかった。

 

17位(圏外↑)The Study Skills Handbook英語版ウィキを参照するに、著者のステラ・コットウェルさんは元リーズ大学の生涯学習担当ディレクターでもあり、英国イーストロンドン大学の副学長をつとめ、ディスレクシアの方であるとか留学生さんであるとか障害のある学生さんとか、様々なバックグラウンドを持つ学習者の支援をされてる方だそうです。

 

18位(12位↓)Orientalism:この上位テキスト一覧、誰に見せたいってサイード先生に見せたいですよ(5年ぶり2回め)。それとこの第一版の表紙にもなっている、ジャン=レオン・ジェロームがわたしは嫌いではない。というか、印象派よりもこちら寄りの方が好きなくらいだ。

via The Clark Art Institute

 

19位(圏外↑)Social Research Methods:社会調査とは何か、社会調査に影響を及ぼす諸問題について、定量調査と定性調査について、などなどの教科書本のようだ。

著者のアラン・ブライマンさん(2017年没)の『ディズニー化する社会』の邦訳がありました。

 

20位(圏外↑)Research Design: Qualitative, Quantitative, and Mixed Methods Approaches:また定量調査と定性調査のはなしをしている。

 

21位(同→)Paradise Lost:『失楽園』のランクが5年前と変わってないの、なんかおもろい。

 

22位(圏外↑)Marketing Management:これはなんとなくAmazonが似合う。

 

23位(圏外↑)Molecular Biology of the Cell:『細胞の分子生物学』の邦題で訳書がありました。ええと、頑張れ科学雑誌!

 

24位(15位↓)Heart of Darkness:コンラッド『闇の奥』。

 

25位(圏外↑)Communication Skills Handbook:現代の学生のための文書&口頭でのレポートや小論、課題の準備から提出のための実例や実践的なヒントをくれるコミュニケーション・ガイドライン読本だそうです。

 

26位(圏外↑)Advanced Engineering Mathematics:『技術者のための高等数学』という邦題で訳書がありました。

 

27位(18位↓)Letter From the Birmingham Jail:キング牧師の「バーミングハムの獄中から答える」、これが収録されている『黒人はなぜ待てないか【新装版】』がみすず書房のサイトでは現在品切と表示されているので、日本の古本屋で検索してみました。

 

28位(8位↓)The Prince:マキアヴェリ『君主論』、

岩波書店と中公文庫と講談社の学術文庫とまんが学術文庫があった。好きすぎん? なんかちょっと戦国武将本みたいに見えてきた。

 

29位(圏外↑)Meditations on First Philosophy:ルネ・デカルト『省察』、そおいや5年前のリストにはなかった。

 

30位(圏外↑)Introduction to Algorithms:『アルゴリズムイントロダクション』という邦題で訳書がありました。2022年には新たに140の演習&22の課題を加えてカラー版にした第4版の発行が予定されてるそうです。

 

31位(23位↓)The Clash of Civilizations?:これを下敷きにした『文明の衝突』、上下巻の文庫になっていました。あとフォーリン・アフェアーズの”The Clash of Civilizations?”20周年記念特別編集版PDFが公開されている。

 

32位(圏外↑)Second Treatise of Government:ジョン・ロック『全訳 統治論 』、こちらはフィルマー「パトリアーカ」が付録としてついてくる(親切)が、品切れ・重版未定(親切?)。
岩波書店『完訳 統治二論』。

 

33位(9位↓)Oedipus the King:『オイディプス』。そうだぞ思い出したぞ、5年前「なんなんだよ地中海〜〜〜」とか思いながら検索してたのを思い出したぞ。

 

34位(圏外↑)The Craft of Research:初版からざっと75万部売れている、学部新入生から上級生までビジネス&政治系のリサーチをやる人向けの文章読本だそうです。第1版が1995年、邦訳『リサーチの技法』はネット活用術をプラスした第4版を底本にしておられるものと思われる。

 

35位(圏外↑)Intermediate Algebra:代数学・中級の教科書。

 

36位(50位↑)The Yellow Wallpaper:シャーロット・パーキンズ・ギルマン『黄色い壁紙』、これ5年前にこのリストを作成してみて知ったお話だったのですけどじわじわ系の怖さでとてもいいです。夏だしぜひ。

 

37位(20位↓)The Structure of Scientific Revolutions:『科学革命の構造』。

 

38位(34位↓)MLA Handbook for Writers of Research Papers:『MLAハンドブック 第8版』。

 

39位(圏外↑)The Souls of Black Folk:『黒人のたましい』。W.E.B. Du Boisについては日本語版ウィキに意外と詳細な記述がありました。あとお名前の発音についてはみんなも悩んでた。

 

40位(圏外↑)Pedagogy of the Oppressed:『被抑圧者の教育学』50周年記念版。新訳じゃない方:

 

41位(4位↓)Biology:『キャンベル生物学』。

 

42位(圏外↑)The Art of Public Speaking:邦題『アメリカの大学生が学んでいる「伝え方」の教科書』。

 

43位(42位↓)Poetics:光文社古典新訳文庫『詩学』、岩波書店『アリストテレース詩学 ホラーティウス詩論』。

 

44位(37位↓)An Inquiry Into the Nature and Causes of the Wealth of Nations:中公文庫の全3巻、講談社学術文庫の上下巻。

 

45位(11位↓)The Odyssey:ホメロス『オデュッセイア』、岩波で上下巻。

 

46位(圏外↑)Principles of Anatomy and Physiology:トートラ『人体の構造と機能』第5版(原書15版)。

 

47位(圏外↑)Handbook of Qualitative Research:『質的研究ハンドブック』全3巻。

 

48位(40位↓)The History of Sexuality:ええと、参考:フーコー「性の歴史」最終巻、ついに出版へ 死後34年 (2018年2月7日)

 

49位(圏外↑)A Theory of Justice:ロールズ『正義論 (改訂版)』。

 

50位(圏外↑)Computer Networks:タネンバウム、ウエザロール『コンピュータネットワーク 第5版』。

 

以上! そしてなぜか岩波書店のurlは埋め込みがうまく表示されない。