「ふつう」

四つだか、五つだったかの夏。昼寝から起きたら、祖母と母がお風呂に入れてくれた。

「先におあがんなさい」と言われてお風呂から出ると、祖母と母がお風呂上がりに使うヘアブラシや、手鏡なんかが用意してあった。

手鏡は、普段は子供の手の届かないどこかにしまってあるもので、だから「しめた!」と思って手鏡を畳にじかに置いて、その上にまたがって「うーむ、なるほどー」ってやってたら、お風呂を終えて出てきた祖母と母に「キョオコォォォオッ!!!アンタ何やってるのーーーーーッ!!!」と、ものすごい勢いで叱られた。そしたらそれまで何も言わずにうちわ使ってた祖父が「ああ、叱るな叱るな」って言って、

「自分のことはちゃんと知っときたいよなあ、ふつうだよなあ」

って言った。

おじいちゃん大好き愛してる、って思いながらぱんつをはいた。