猫珈琲

友人が旅のおみやげにコーヒー豆を持って帰ってきてくれました。
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パッケージに大きくKopi Luwakとあります。おお、これってあれじゃないか。コーヒーはコーヒーでも、「世界一お高い」とかいわれる例のあの。猫珈琲。

コピ・ルアク
コピ・ルアク(インドネシア語 Kopi Luwak)とはジャコウネコの糞から採られる未消化のコーヒー豆のことである。「コピ」はコーヒーを指すインドネシア語、「ルアク」はマレージャコウネコの現地での呼び名である。日本では, コピー・ルアークやコピ・ルアック、ルアック・コーヒーとの呼称も通用している。独特の香りを持つが、産出量が少なく、高価である。

インドネシアのコーヒー農園ではロブスタ種のコーヒーノキが栽培されており、その熟した果実は、しばしば野生のマレージャコウネコに餌として狙われている。しかし、果肉は栄養源となるが、種子にあたるコーヒー豆は消化されずにそのまま排泄されるので、現地の農民はその糞を探して、中からコーヒー豆を取り出し、きれいに洗浄し、よく乾燥させた後、高温で焙煎する。

世界で最も高価なコーヒーとして知られており、500グラムにつき300から500米ドルの価格で販売されている。かつては主にアメリカ合衆国と日本に出回っていたが、現在は、なお供給量こそ限られてはいるものの、世界各地で入手することが出来るようになった。世界最大の消費地は日本や台湾、韓国などのアジア諸国である。

ウィキペディアって本当に便利だなあ。

持って帰ってくれた友人に、でもこれ頂いちゃっていいんですかお高いんでしょう?と慎みのない水を無遠慮に向けてみたところ、「うーん、そうでもなかったです。まあ他のコーヒーに比べれば高いかな、というところでしょうか」とのお答え。なるほど。

いや、こう言っては何ですが『希少品』とか『王様』とか言われる割りにはこう。パッケージの作りもかなりカジュアルなような気もします。どうなっているのでしょう。すると友人が「以前に比べて効率よい生産方法が確立されたので大量のコピ・ルアックが安定供給されるようになり、庶民にも手が届かないこともない、というくらいには値下がりしている」と、大筋ではそのようなことを言いました。効率よい生産方法。大量に安定供給。これだけでおなかがふるふるしてしまいます。Holy C**p!

希少価値も価格も世界一お高いとされる猫糞、というのもいい笑いばなしですが、更にそこから一歩進んで大量生産されて値崩れする猫糞、というのもこれもこれでゆかいな話です。

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そうとう細かめに挽いてありましたが、いつも使っているメタルプレス式のサーバーで淹れてみました。
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せっかくなので拙宅でいちばんブルジョワっぽい感じのカップでお迎え。ふつうに、おいしいの部類に入る珈琲です。味にしろ香りにしろ、全体的にとてもやわらか。でもそれが猫の働きなのかどうかは良く分かりません。もともとの豆が良いんではないかとか、ついそういうことを考えてしまう。独特の香りというのも、すみませんいまひとつよく分かりません。独特というか、「コーヒーの良い香り」という感じです。

で、マグカップ一杯ぶんくらい淹れて半分はそのまま頂いたのですが、残りは目先を変えて牛乳など足してみたのです。そうしたら「あらっ!」というくらい甘みを強く感じた。驚きました。おもしろいなあ、これ。

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ひっくり返すとハラールマークが右肩上のあたりについております。
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そもそもこの猫珈琲について知ったきっかけというのが数年前、これってイスラム法上どうなのか、というのでインドネシアのウラマー評議会がファトワを出すの出さないのとやっている、というのを取り上げたAP通信の記事でした。検索してみたところ、Jakarta Post紙のウェブ上に当時の記事が残ってた。

Indonesian Muslim group may ban civet coffee
コーヒー豆が清潔であるか否かが問題で、「コーヒー農家の従事者たちが挽く前の豆を清潔にしていればハラール(合法)であるし、何の問題もないはずだ」とウラマーのえらいひと。

で、その翌日の記事が
MUI declares civet coffee ‘halal’
当初は「夜行性の動物が排泄した豆はナジス(不浄)と考えられる」としていたウラマーのえらいひとが「イスラムで定められているような水による七回の洗浄も不要。豆に汚れがついてさえいなければOK。ただし、割れていたりする豆は清潔ではないし消費されるべきではない」。

なんで意見が変わったのかとか、そう言われるとむしろ七回洗浄してほしくなってくるんですがとか色々ありますが、ともかくめでたし(?)。

ところで非常にどうでもいいんですが、これ以降もJakarta Post紙はことあるごとに猫珈琲を取り上げています。猫珈琲生産者の日常だとか猫珈琲、売れ行き絶好調!だとか、品質管理のための絶え間ない努力だとか、ライバル出現!迫り来る熊猫茶とか失われし幻の豆の何たらかんたらとか、本当に非常にどうでもいいんですがくっそおもしろい(くそだけに)。

いちばん緊張感あふるる山場はやはり動物愛護団体PETA来襲!!のあたりでしょうか。これに対しては学生たちが考案したケージ無しファームで解決だ的な新たな展開もあったりしてちょっとしばらくの間は目が離せません。少なくとも、おみやげの猫珈琲が残っているうちは。