『精神的マスナヴィー』1巻
ジャラールッディーン・ムハンマド・ルーミー
「そして御方はあなたと共に在る、あなたが誰であろうとも」。
我らが無知に陥る時、我らは御方の牢獄にある。
我らが知識を得る時、我らは御方の宮殿にある。
我らが眠る時、我らは御方に酩酊せしめられたのである。
我らが不眠をかこつ時、我らは御方の掌の上に試されているのである。
我らが泣く時、我らは御方の創り給うた雨雲である。
我らが笑う時、我らは御方の創り給うた稲妻である。
我らが怒り、争い、戦う時、我らは御方の荒ぶる力を映す鏡である。
我らが赦し、慈しみ、寛容を示す時、我らは御方の愛を映す鏡である。
一体、我らとは何であろうか?
人間とは何であろうか?
何処から来て何処へ向うのか?
何が正しいのか?
何が間違っているのか?
何が正しいのか何が間違っているのか、何処に始まり何処に終わるのか。
まるで絡まり合った糸玉のよう、私にはさっぱり分からない事だらけだ。
ا(アリフ。アラビア文字の最初の一文字)のように、
何ものからも自由自存であられるのはただ御方のみ。
御方の他に何も無し。
御方の他に何も無し。