[散漫なめも・ひとつめ]
アリー・アブデル=ラーゼクの御本に1こだけついてたアマゾン.comのレビューがおもしろかったのです。
Worth every dollar — and that’s saying something
「近代イスラムとかイスラム政治思想とかに興味があるやつは必読。72ドルするけどね」というレビューでした。この方はハードカバーのをお買い上げだったんですね。「高いよ」「いい本だけど高いよ」「高いけどいい本だから読めよ」「読めよ、高いけど」っていうレビュー。
「ページ単価50セントする」っていう賢くてばかっぽいフレーズについふきそうになりました(一応、その後に「けど、その価値はある」、と続くんですけども)。ふとこのレビュアー氏の他のレビューも気になってページをのぞいたら、なんかヒューストン大学の政治学の教授だとかいう人でした。そんなに沢山あるわけじゃないけど、他の御本のレビューも面白い。特に「作りが安い」というタイトルの、Omar Dahbour “The Nationalism Reader”の超短文レビューとか。「読みはじめてすぐに装丁からページのかたまりがごっそり大量に抜け落ちた。化学療法中の患者の髪の毛かと思った」。アンソロジーかなんかだったらしく、収録されてる文章の「セレクトは悪くないんだけど長持ちするもんでもないね、持ってるだけでだめになっちゃうようじゃあね」だって。
必読であることには違いない。しかし72ドルですからね。イスラムという宗教には解釈のあり方は一般的(ムスリム・非ムスリム問わず)に思われているように、特に一方向にのみ限定されているわけでもなさそうだ、というのはもう少し知られてもいいと思うし、実際にトライした人もいたというのも知られてもいいと思うのですが、それにしても72ドルですからね。ちなみにわたしが購入したのはペーパーバックなので30ドルちょっとだったのですが、これでも高いと思うひとは思うのでしょう。うーん。
それでも出してくれてるだけでじゅうぶんありがたいと思うんですけどもね。
[散漫なめも・ふたつめ]
War on the Rocksというサイトに「で、結局ISってどのくらい兵士を抱えてるの」というのがありました。
How Many Fighters Does the ISLAMIC STATE Really have?
2014年終わり頃のCIAの分析では、20000から31500人。
英国に本拠地のあるシリア人権監視委員会の報告では、シリアだけでも50000人。
ロシアの分析では全体で70000人。
クルド系指導者に言わせると200000人。
ずいぶん幅があるよね、っていうことで
Turning to ISIL’s holdings, it’s worth reviewing the territories that ISIL is believed to occupy in Syria, along with their population sizes:
じゃあISILが実際に実行支配している地域の人口はどのくらいなの?
ラッカ 944000人
ダーイル・アル=ザウル地方(シティの人口を除く) 746566人
シャッダーディー、マルカダ、ハサカのアル=アリーシュ地域 90045人
アレッポのジャラーブルスとマンビージュ地区 467032人
シリアだけでも計2247693人がISILの支配下にあるという計算。シリアの全人口がだいたい2240万だそうですから10%くらいでしょうか。今年2月時点でのまとめ記事なので、この半年の間にどう変わっているのか・いないのかは分かりません。
Syria Regional Refugee Response
UNHCRのシリア難民カウントは9/17現在で4086760人。うち2.1百万がエジプト、イラク、ヨルダンとレバノン、1.9百万がトルコ、24000人はその他の北アフリカ。ヨーロッパへの亡命者は2015年8月までで428735人。
頭数だけで見ても、ISはぜんぜん人を集めることができていないです。