イギリス在のイスラム教徒がオンライン署名を呼びかけているのを目にしました。
Change the Ummul Qura calendar criteria to a Predicted Crescent Visibility (Imkan-e-Ruyat) model.
リヤドのアブドゥル=アジズ王科学技術都市で作成しているウンム・アル=クッラ・カレンダーを「観測式」ではなく「予測式」で作成してくれ、という請願なのだけど、
イギリスには300万超のイスラム教徒が住んでいる。彼らの文化的背景はそれぞれに異なるが、年1回のラマダン月と年2回のイードを執り行うのに正確かつ信頼に足る新月観測速報を必要としている点においては変わらない。しかしながらここはイギリスである。まともに新月観測できるような晴れた日なんか滅多にないので、海外の新月観測に頼らざるをえない。
法学に従うならば、こういう場合は西からではなく東からの新月観測の報せを参考にすることになっている。つまりリヤドの西に位置する地域ではウンム・アル=クッラ・カレンダーは使えない。北アフリカ、ヨーロッパ、アメリカが相当する。
しかしながら何しろリヤドはサウジ。ふたつの聖地を抱えた国のカレンダーであることがイスラム教徒の「心理的バイアス」となっている。サウジからの報せがなければ、自分の住んでいる地域では新月が既に観測されているにも関わらず「いやまだだ」と言い出す人々が必ず出現する。かくして「正しい」ラマダンの始まりと終わりを巡って毎年のように分裂と不和のカオスが引き起されるのだ。云々。
「だからいっそカレンダーを予測式にしてくれ。そしたらラマダンもイードも統一できるし」、っていう内容でした。
うーん。どこのモスクにも、どこのコミュニティにも必ず一人か二人は誰かしら「謎のサウジ通」がいるんですよね。サウジ出羽守。
目なんていうものは大体が節穴なんですよ!だから目視なんてあてにしてないで、ふつうに地元の予測式の月齢カレンダー使えばそれがいちばん良いと「わたしは(後述)」思うのですけれども。でもそれが無理だからって、サウジの王様に「おまえんとこのカレンダーをなんとかしろ」ってさすがだよなあと思いましたよ。なるほど大英帝国の水を飲んでるとこういう発想になるんですか。
後述:「わたしは」、でも長いものに巻かれるのも好きですよ。巻かれるときは選択的に巻かれましょう。
それと、ラマダンの始まりとイードの、あの新月の「わあわあ」というのは、それ自体が楽しむべきバラカであって、解決すべきカオスではないとも思っています。
ねむいからもうちょっと書いてしまうと、「同じ日にイードを祝う」ということが、そんなにも大事だと思うなら、じゃあ自分が譲ればいいじゃないかと思うんですよね。法学的に正しいとか何とかと言っていないで、「じゃああなたに合わせますね」って譲ってしまえば良いんですよ。
別のところに書いたのを、こちらに保存しました。