“40 Sufi Comics”という、インドはバンガロール在住のムスリム兄弟アリとアリフが描くコミックスの日本語化をお手伝いしました。お時間あるときにご覧頂けると幸いです。人名の表記であったり句読点であったり、ところどころお直しちゅうではあるのですがそのあたりはなんというか悠久のインドと思って気長に待ってあげてください。わたしはこれ↑がずっとお気に入りです。
“40 Sufi Comics”にはシーアの人々に尊敬されている方々が沢山登場します。作者兄弟が子供の頃に通ったマドラサの先生のお話が、彼らのコミックスの原点となっているとのことでした。 わたしのコーランの先生はスンニーでしたから、わたしの知っている宗教的作法はスンニーのそれです。そして先生が教えてくれたことのひとつに「シーアもスンニーも同じイスラムの傘の下のムスリム。仲良く、サラームを与え合いなさい」というのがありました。だからアリとアリフが、子供時代の大事な思い出を心を込めて描いたこのコミックスの、日本語化をお手伝いできたことがとてもうれしいです。先生の教えをひとつ守る機会になりました。
“Reunion Anniversary International Commemoration Ceremonies of Hz. Mevlana”と題されたこの行事、主催はコンヤ県文化・観光局ですが、動画をアップロードしているのは2年前から Youtube にチャンネルを開設しているトルコ宗務庁でした(ちなみにわれらが東京ジャーミイも、去年のちょうど今頃にチャンネルを開設しています。わりと政治的に踏み込んでるな思いきってるな、とも取ろうと思えば取れるような動画もアップロードされており、なかなか目にしみます。まあ「ちなみに」と書いたとおり、まったくの余談ではあります)。
井筒俊彦翁は『ルーミー語録』の解説の中で「今日、トゥーリズムの要請でコニヤの舞台で演じられるいわゆるマウラウィー・ダンスは演出された贋物である。本物は一種の地下運動として盛んに行われているが、普通の人には見物できない」と仰っていますが、その「贋物」というのはだいたいこんな感じだったみたいです。これが35年前。現在は年間を通じて約200万人がコンヤを訪れており、12月のこの儀式には約10万人が集まるとも言われています。それを受けて「これはいける」とふんだのか何だか、さらに最近ではこの旋舞祈祷(セマー)専用のMevlana Cultural Centerなんていう立派な箱までできてしまいました。井筒翁が知ったらニセモノ呼ばわりどころじゃ済まなそうです。
“The Art of Hajj” Venetia Porter 編者は大英博物館でイスラム美術や中東地域の現代美術のキュレーターを務めていらっしゃる方。大英博物館におさめられた豊富な収奪品、もとい収蔵品の中から巡礼にまつわる工芸品・美術品が全フルカラーで56点。変形A5といったようなサイズ感なのですが、ほぼ正方形なのはカアバへのオマージュなのかな? 大英博物館の巡礼特集ページと一緒に鑑賞するとなお楽しい。
Hajj Paintings: Folk Art of the Great Pilgrimage 御本というか画集です。エジプト中心に、あちらこちらの壁や看板に描かれた巡礼をモチーフにした絵画をあつめた写真集。なんかすごい。なんかすごい。「ハッジ画」というひとつのジャンルがあるんですね。で、「ハッジ画」職人みたいな人がいて「ハッジ行ったしちょっと描いてくれ」みたいな感じで注文を受けて描いてる。だいたいが個人商店の壁だったりレストランの外壁だったりなんですが、個人のお宅の寝室の壁なんかにも描いてる。いいなあ。巡礼はもちろん行ってみたいですが、この画集をめくり終わった今はむしろ巡礼画の注文というのをしてみたいです。